一羽の鳥が森を歩いていました。
その鳥は羽をなくしてしまったので、
空を飛ぶ事ができませんでした。
羽をなくすまえは、とてもりっぱな
しあわせの青い鳥だったというのに・・・。

歩きながら、鳥は思いました。
「ボクはどれだけの人をしあわせにしただろう・・・
なのになぜ、こんなに今のボクは不幸なのだろう」と。
歩く途中、石につまづいて転んでしまった鳥は、
こうも思いました。
「あんなにがんばってきたのだから、
ボクもしあわせになってもいいはずだ!」と。
強い風にあおられて、葉っぱのように飛ばされた
鳥は次にはこう思いました。
「いままでしあわせにしてあげた人たちは
ボクにはお礼すらしない。なんてことだ!」
鳥の心はどんどん黒くなってゆきます。

どのくらい歩いたのか。
鳥は大きな川に出ました。
水を飲もうと川のほとりにやってきたけれど、
水面にうつる自分のみにくい姿を見つけて、
悲しくて泣きました。
すると、背中の方で「どうしたの?」という声がしました。
ふりかえると、ひとりの女の子が
心配そうに鳥を見つめていました。
鳥はあまり沢山泣いたので、声がでませんでした。
女の子はそっと鳥を手のひらにのせて、
「かわいそうに、羽をなくしてしまったのね。
わたしのお家へいきましょう」と言いました。

女の子のお家はとても小さいお家でした。
でも、鳥にはあたたかくてまぶしく思えました。
女の子は鳥の羽がもとにもどるようにと
一生懸命薬草をぬってくれたり、
おいしいスープをつくってくれたりしました。
女の子のやさしさは、
鳥に森を歩いている時に、
言ってしまったみにくい言葉を後悔させました。
そして女の子に何かお礼をしたいと思いました。
「ありがとう。ボクは今、羽はないけれど、
しあわせの青い鳥なんだよ。お礼に何か君のお願いをひとつ
かなえさせてください」と鳥は言いました。
女の子は鳥をなでながら
「わたしのお願いごとはとても簡単。
いつもとかわらないおだやかな毎日でありますように」と言って
目を閉じました。
それを聞いた鳥はこれまでにないくいらい
やさしい気持ちにつつまれました。

朝、昨日とかわらないお日さまがのぼるころ、
鳥はきれいな青い羽をひろげます。